第57回「知的コラボ」の会(開催報告)
教育実践コラボレーション・センターでは、2024年7月25日(木)に、総合研究2号館 第7演習室において、第57回「知的コラボ」の会を開催しました。(フライヤー)
今回は、臨床教育実践研究センターの畑中千紘准教授に「アグレッションと現代の心理」というテーマで話題提供していただきました。「最近の若者はいい子が多い」「最近の若者はあまり怒らない」という言説を出発点とし、現代を生きる若者の心理的傾向をお話いただきました。まず、心理療法における「物語」の役割を確認し、内的世界と外的現実の両者と適度なつながりをもつ物語をつくっていくことが重要であるとの前提を共有してくださいました。しかし、2010年前後から「漠然と不調を訴え、問題を自覚できていない(現実が入らない)」傾向や「解決方法を外界のみに求めようとする(私が入らない)」傾向をもつ人が増加してきており、「物語」をもつことの難しさがみられることをご指摘くださいました。その後、ロールシャッハ反応やPFスタディ研究から得られたデータをもとに「最近の若者があまり怒らない」という現象の内実を分析的にお話くださいました。
フロアからは、攻撃性や暴力性の矛先、受け皿としての社会のあり方などに関する様々な質問や意見が述べられ、議論を深めることができ、たいへん有意義な時間となりました。
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