国際関係ユニット
グローバル化の動き、あるいは社会変容によって教育制度や教育そのものが変容を迫られています。そうした変容に制度・政策レベルでどのように対応しつつあるのかを明らかにしています。
現在、以下の2つのプロジェクトが進行しています。
【日中教育共同研究センター】および 【北京師範大学との学術交流】
【日中教育共同研究センター】
2006年10月27日、京都大学大学院教育学研究科と中国の中央教育科学研究所との間に学術交流の協定が成立した。そして、2007年1月28日には、日中教育共同研究センター設立の協定が締結された。
2007年度は、小学生の数学学力を対象に日中の比較調査を企画・実施する。その際、両国の算数・数学教育における理論的・実践的問題をふまえ、内容を絞って共通調査を実施する。これによって、両国の学力形成上の課題や実践改善の指針を具体的に示し、現場にフィードバックしていくことを目指す。
すでに2007年1月28日のセンター設立の協定締結直後に、日中合同研究会を開催し、双方の学力調査の実施経験や理論的知見を交流した。そして、3月9日には、調査問題を作成する前提作業として、両国の教育課程基準や教科書の検討を進めるべく、京都大学の研究チームにおいて定例研究会を立ち上げた。2007年6月には中国を訪れ、中国の小学校の算数授業を観察し、逆に、11月には中国側の研究者を日本に迎え、日本の小学校の算数授業の観察を行う予定である。
日中両国の間で問題を共有し、限定的かつ具体的な研究課題に一つひとつ取り組んでいくことで、両国の教育研究・実践の進展に寄与する成果を着実に蓄積しつつ、息の長い学術交流を実現できると考えている。
【北京師範大学との学術交流】
教育学研究科は、2006年6月に北京師範大学教育学院と学術交流協定を締結して以来、研究(教員レベル)・教育(院生レベル)の二つの方向で、教育学院と実質のともなう交流活動を行ってきた。
2006年度は、6月に研究科から教員10人、院生10人が北京師範大学を訪問し、協定締結記念「日中教育学系合同シンポジウム」(院生分科会を含む)を開催した。同10月には交換集中講義の講師として、研究科から辻本雅史教授が訪中された。
2007年度の学術交流事業としては、まず9月中旬に劉慧珍教授(教育学院高等教育研究所所長)が来学し、研究科の大塚雄作教授・金子勉准教授と共同で、集中講義「国際教育研究フロンティア」(通訳あり)を担当される。また11月には北京師範大学から教員4人と院生6人が来学し、11月6日・7日に「日中教育学系合同シンポジウム2007」を開催の予定である。6日には日中教員による全体会、7日は教員分科会・院生分科会を実施する。院生分科会は、日中院生が二分科会において発表と質疑・討議を行うものである。同分科会では、2006年6月のシンポジウムの経験を踏まえ、日中院生が事前に連絡を取り合いながら共同で企画・運営する予定である。
今後、個々の専門領域において、両機関の教員による研究交流や共同調査・研究、研究プロジェクトなどの創造的活動が生み出され、また院生同士の発展的な交流が着実に広がっていくことが期待される。