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平成25年度(2013年度) 基盤研究(A)(一般)研究計画
学校を中心とする教育空間における力動的秩序形成をめぐる多次元的研究
研究目的
校内暴力・いじめとけんか・体罰といった学校での暴力的事象、学級崩壊、日々繰り返される校則違反など、学校教育を揺るがせる秩序形成をめぐる問題の解決は、学校教育の重要な課題とされてきた。これを「秩序対暴力」という対立関係と捉えず、子どもの存在をかけた力動的な秩序形成への試行という視点から捉え直すと、問題解決への問い方はこれまでとは異なるものとなる。
本研究の目的は、(1)教育学や心理学や社会学といった学問領域を横断する多次元的研究によって、学校・家庭・地域社会という教育空間における秩序の形成と揺らぎについてその機構を解明すること、さらにその成果に基づいて、(2)学校において暴力や差別を伴わない力動的秩序形成を促進する、教育空間相互の間での協働を実現するシステム構築の道筋を呈示することにある。
研究計画・方法
多次元的研究によって、学校・家庭・地域社会という教育空間における秩序形成と揺らぎの機構を解明し、学校を中心とする教育空間において、暴力や差別を伴わない力動的秩序形成を促進する教育空間間の協働システムを構築する道筋を呈示するため、下記の項目について研究を実施する。
A.教育空間での秩序の形成と揺らぎについて現状を調査し、その機構を解明する
B.教育空間に具体的に働きかけて、力動的秩序形成をサポートする機構の在り方を呈示する
C.以上の成果を踏まえ、力動的秩序形成から捉えた教育空間の新たな配置をデザインする
準備状況、及び研究成果の発信方法
- ①本研究の実施にあたり特別な施設・設備・研究資料は必要なく、既存のもので実施可能である。
- ②本研究は、異なる研究領域で、それぞれに学校・家庭・地域における力動的秩序形成に関心と実績をもつ9 名からなる共同研究である。研究分担者はすべて京都大学教育学研究科の教員で、この学問横断的な研究グループを5 年前から立ちあげ、学校現場、地域の教育空間、家庭裁判所などとも連携して、教育空間の力動的な再生に向けて研究を重ね、問題の改善に向けてのモデル開発を継続して行ってきた。したがって各フィールドとの関係も5 年間の蓄積があり、フィールドとの信頼関係がすでに構築されている。その意味でいえば、本研究グループは研究のための前提条件がすでに整っており、すぐにでも研究をスタートできる状況にある。
- ③本研究は今日の喫緊の教育問題をテーマとしているため、研究成果の発信には京都大学教育学研究科の協賛を得て力を入れる。研究成果の発信は、(1)研究分担者の所属する国内外の学会での発表、論文の形での発表はもとより、(2)各フィールドでの研究協力者への報告、(3)全体の研究成果をまとめた書籍の発行、(4)京都大学教育学研究科主催によるシンポジウムの開催やホームページによる成果発表、といった方法によって広く社会・国民に還元する。