公開シンポジウム「深まりのある探究へと生徒をどう導くか」(開催報告)

 京都大学大学院教育学研究科 教育実践コラボレーション・センター E.FORUMでは、2024年3月23日(土)に、京都大学吉田キャンパス総合研究3号館 講義室(共通155)において、公開シンポジウム「深まりのある探究へと生徒をどう導くか」を開催しました。本公開シンポジウムは、内閣府によるSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)の課題「ポストコロナ時代の学び方・働き方を実現するプラットフォームの構築」における研究開発「真正で探究的な学びを実現する教育コンテンツと評価手法の開発」(研究開発責任者:松下佳代)の一環として行われ、主に教職員や教育委員会関係者、大学教員等、総勢50名の方々が参加されました。当日は、探究学習に取り組んでいる高等学校を対象とした訪問調査の結果をもとに、それらの学校がどのように探究学習のカリキュラム・授業・評価を実現しているのかについて、SIPプロジェクトメンバーから報告がなされました。

 

 はじめに、SIP サブ課題A・研究開発責任者である京都大学大学院教育学研究科の松下佳代教授より本公開シンポジウムの趣旨説明がありました。続いて、神戸大学大学院人間発達環境学研究科の石田智敬特命助教から「中等教育における探究学習をめぐる現状」と題して、広尾学園中学校・高等学校医進サイエンスコース(東京)、京都市立堀川高等学校(京都)、青翔開智中学校・高等学校 (鳥取)、北海道鹿追高校(北海道)での事例が紹介されました。京都大学大学院教育学研究科博士後期課程の肖瑶さんからは「探究学習の実践動向と課題」と題して、東京都立王子総合高等学校、東京都立八王子東高等学校、広島県立西条農業高等学校での事例が紹介されました。また、京都大学大学院教育学研究科博士後期課程の岡村亮佑さんからは「探究学習の理論的整理と示唆」と題して、上述の事例をもとに比較検討がなされました。さらに、これらの報告を受けて、京都大学大学院教育学研究科の恩田徹特任教授より論点整理がなされました。フロアからは、さまざまな質問や感想が述べられ、議論を深めることができました。参加者からは、「探究活動の在り方について、多くの事例をもとに理論的整理がなされていて、自校の取り組みを相対的に捉えなおすことができた」「なぜ探究活動が必要なのかを、現場の先生方と共有したい。探究活動は、進路教育の再構築であり、『どのように生きるか』という意味でのキャリア教育である、との考え方は示唆に富むものであったと思う」「本公開シンポジウムについて、答えがはっきりしているものを報告するのではなく、まだまだ研究段階の点を我々のような一般教員に示していただいたことが本当に意義があることだと思いました」「探究を深める方法を模索している現役実践家、かつての実践家、研究者が一同に会する場があることそのものが最も印象的でした」といった感想が寄せられました。

 

 また、最後に京都大学大学院教育学研究科の久富望助教より、探究を支援するデジタル・ポートフォリオの開発についての実践報告もなされ、参加者からは、デジタル・ポートフォリオの可能性について期待を寄せる声もいただきました。

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